
ドラマ『霧の旗』について
書いていきます。
この作品は、松本清張の不朽の名作『霧の旗』のドラマ化です。
過去に倍賞千恵子、山口百恵、大竹しのぶといった名女優達が演じています。
今回は、清純派女優という印象が強い堀北真希さんが、新境地を作り上げるべく、復讐に燃える悪女を演じます。
今回は、原作を少し変えて現代版とドラマ化されています。
原作では、貧しいがゆえに高名な弁護士に対して高額な弁護料を払うことが出来ず、
兄の弁護を断られ、殺人の汚名を着せられたまま獄中で死んでしまった兄。
原作では、兄ですが、今回のドラマ化では、兄を知的障害のある弟に変えて設定してあります。
「貧乏人は救われんのですね」という言葉が現代の世相を反映し、心に残ります。
原作の良さも取り入れ、現代版として清張の世界を残さずドラマ化しています。
浜村淳さんが霧の旗を熱弁しています。過去の作品のことも分かります。
《キャスト》
柳田桐子 役(堀北真希さん)知的障害のある弟と二人で生活していたが、弟が殺人罪を着せられ、東京の有名な弁護士に弁護を頼むが、高額な費用が払えず断念する。
その後、弟が獄死したことで、弁護士への復讐を考える。
大塚 欽三 役(椎名桔平さん)有名なカリスマ弁護士。人権派として知られ、地位も、名誉ある。愛人・径子がいる。
多忙であることと、径子との時間を大切にしたいため、桐子の弁護依頼を断わる。
阿部 啓一 役(高橋克実さん)週刊誌記者。桐子の弟の事件を追いかけることになる。
桐子に同情し、なんとか力になろうと接近する。
河野 径子 役(木村佳乃さん)大塚の愛人。高級レストランのオーナー。大塚と不倫関係。
柳田正夫 役(古畑新之さん)桐子の弟。知的障害があるが、性格はいい。工場で働いて生活している。
イカリングが好物。身に覚えのない殺人罪で告訴され、有罪が確定。その後、獄中で死亡する。
杉浦 健二 役(福士誠治さん)レストラン「水無瀬」副マネージャー。径子の元彼。今でも径子を忘れることができない。
信子 役(谷村美月さん)キャバクラのホステス。杉浦を心から愛しているが、その杉浦が径子に関心を示していることで思い悩む。
そのことを桐子に告白、杉浦の尾行を依頼する。
佐々木弁護士 役(でんでんさん)正夫の国選弁護人となった。裁判では正夫を無罪ではなく、強盗殺人から殺人になるように考え、無罪を望む桐子と対立する。
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《堀北真希コメント》
堀北は「ドレスを着たときは、露出が多くてソワソワしました(笑)」と、照れ、キャバクラ嬢という仕事については「私にはあのようなお仕事は出来ないと思いました」と。その理由は「ああいうお店は男性が癒しを求めてくるところだと思うんですが、私はそこまで気を回すのは無理だと思ったので(笑)」。
NVERまとめから
堀北真希さんのドレスすがたもいいですが、やはり和服が似合いますよね。
近作の時代劇『蜩の記』では、和服姿の堀北真希さんが見られます。
《あらすじ》
食品加工工場で働きながら、桐子(堀北真希さん)は、知的障害のある弟の正夫(古畑新之さん)とひっそりと暮らしていました。
仕事が終わると、仲間からの誘いも断り、桐子は、スーパーの商品が半額になる時間を待って、弟・正夫が好きなイカリングを買って帰ります。
正夫は、まるで子供のようにイカリングを喜んで食べます。二人は、貧しいが楽しい毎日を送っていた。
給料日、正夫は、給料をもらっての帰り道、袋の中の札を数えてながら歩いていると、近くの家から若い男が出てくるのを見ます。
その家の住人、菊江と目が会います。なぜか菊江は正夫に見られたことでバツが悪そうにします。
見られてまずいことで「これで黙っとっててくれる?」と1万円札を正夫にあげ、口止めをします。
菊江に手を取られ、胸元にあてがわれた正夫は動揺して何も言えなくなります。
その話を正夫から聞いた桐子は、正夫をたしなめます。翌日、正夫は一人で返しに行きます。
正夫は、菊江の家を訪れると、菊江は何者かに殺害されており、その場にいた正夫が容疑者として拘束されてしまいます。
桐子は「弟は普通の人とは違うんです!」と訴えるが、警官は相手にしません。正夫は取り調べに震えるだけで何も答えることが出来なくなります。
思い詰めた桐子はニュースで見たことのある大塚弁護士を思い出し、一人上京します。
桐子は、大塚に会おうとしますが、大塚は、大きな裁判を片づけ後で、愛人の径子(木村佳乃さん)と旅行に行こうとしていました。
弟を助けてほしいと願う桐子の訴えに心が動きそうになる大塚でしたが、遠隔地の事件は報酬も高くなる、と断ります。
「貧乏人は救われんのですね」と悲しい思いで去っていく桐子。見送る大塚の胸に苦いものが残りました。
帰郷した桐子は、正夫のためにあれこれ手を打とうとします。しかし、裁判ではむなしく無期懲役の判決がおります。
それでも助けようとしていた桐子だったが、正夫は獄中で熱中症のため死亡してしまいます。
正夫の遺体を前に涙も出ない桐子でしたが、ある思いがふつふつと湧き上がるのを感じていました。
かわいい弟を死に追いやった大塚弁護士(椎名桔平さん)に対してどのように復習していくのでしょうか。この後は、ドラマの中で。
ここからは、原作のネタバレです。
ネタバレしたくない人は、見ないで
ください。
《原作のあらすじネタバレ》
柳田桐子は高名な大塚欽三の法律事務所を今日も訪れた。だが返事は冷たい拒絶の言葉であった。
熊本の老婆殺しにまきこまれた兄のために、上京して足を運んだ桐子は、貧乏人のみじめさを思い知らされた。
「兄は死刑になるかも知れない!」と激しく言った桐子の言葉を、何故か忘れられない大塚は、愛人河野径子との逢瀬にもこの事件が頭をかすめた。
熊本の担当弁護士から書類をとり寄せた大塚は、被害者の致命傷が後頭部及び前額部左側の裂傷とあるのは、犯人がギッチョではなかったかという疑問にとらわれた。
この疑問は大塚の頭の中で雲のように広がった。数日後桐子の名前で「兄が死刑になった」と知らされた。大塚は弁護をひき受けなかった自分を悔んだ。
兄の死後、上京した桐子はバー“海草”のホステスとなった。そして常連の記者から「大塚が事件の核心を握ったらしい」と聞かされて復讐の念にかられた。
その頃桐子は同僚のホステス信子から恋人杉田健一の監視を頼まれた。ある夜尾行中の桐子は、健一が本郷のしもた屋で何者かに殺害される現場に来あわせた。
そして桐子は偶然いあわせた大塚の愛人径子に冷たい視線を送った。桐子は健一の死体の側にあった径子の手袋を残すと、健一の親友であった山上のライターをバッグにしまった。
径子は殺人犯として逮捕され、大塚の社会的地位もあやぶまれた。大塚は証拠品のライター提出と、正しい証言をもとめて桐子の勤め先に足を運んだ。
そんなある夜、桐子はライターを返すと大塚をアパートに誘い、ウイスキーをすすめて、強引に大塚に関係を迫った。
翌日桐子は担当検事に「大塚から偽証を迫られ、暴行された」と処女膜裂傷の診断書をそえて訴えた。いまや大塚は完敗した。
九州に向う連絡船上、桐子の胸に虚しさがつきあがって来た。
桐子は、結局証拠のライターを送り、大塚の愛人は釈放され、真犯人が捕まります。
ミステリ通信より
弱者は、貧しさにあえぎ、国や社会によって救済されず切り捨てられていく。
いつの世にもある普遍的なテーマを清張作品の中でも古典的に現しているのが、「霧の旗」です。
映画『霧の旗』は、
2014年12月放送です。